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遺言書が見つかった時の対応【2026年最新】|検認・種類別の扱い
この記事の内容(全11項目)
この記事の結論(30秒でわかる)
- 遺言書が見つかった時の対応は「開封しない」「共有する」「家庭裁判所に届ける」の3ステップです。自筆証書遺言は開封厳禁で、検認という家庭裁判所の手続きを経る必要があります。
- 遺言書の種類によって対応が異なります。自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必須ですが、公正証書遺言は検認不要です。公正証書遺言は公証役場や法務局に記録があるため、確認と謄本請求がメインになります。
- 遺言書が見つかっても、すぐに開けてはいけません。特に相続放棄を検討している場合は、原則として相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があり、遺言内容を確認してから判断すべきです。
- 本記事は一般的な説明です。個別の判断は必ず弁護士・司法書士に相談してください。
親記事は相続手続きの順番、相続放棄と遺品整理の関係は相続放棄と遺品整理、その他の貴重品については遺品整理で貴重品・現金が出てきた場合の対応をご覧ください。
遺言書の3つの種類
遺言書には3つの形式があり、それぞれ発見時の対応が異なります。
自筆証書遺言
遺言者自身が、手書きで内容を記した遺言書です。最も一般的な形式で、故人が自宅で保管していることが多いです。
- 要件が厳格: 日付、署名、押印がすべて必須
- 形式要件を満たさないと無効になる可能性
- 検認が必須: 見つかった遺言書は、そのまま使用できず、家庭裁判所の「検認」という確認手続きを経る必要があります
- 発見のタイミング: 相続開始後に見つかることが多く、遺品整理の最中に発見されるケースが大半です
公正証書遺言
公証役場(公証人)が立ち会って作成した遺言書です。高齢者が遺言を準備する際によく利用されます。
- 公証人が内容を確認: 作成時に公証人が要件や内容の妥当性を確認するため、形式不備のリスクが低い
- 原本が公証役場に保管: 公証役場が保管するため、紛失や改ざんの心配がない
- 検認不要: これが自筆証書遺言との最大の違い。発見・確認後、そのまま相続手続きに進められます
- 法務局の遺言書保管制度: 2020年以降、法務局に預けることもできる(特に高齢者向け)
秘密証書遺言
本人が内容を秘密にしたまま、存在と真正性だけを公証人に認証してもらう遺言書です。実務ではほぼ使われません。
- 稀な形式: 日本の相続実務ではほとんど見られません
- 検認が必須: 自筆証書遺言と同じく、家庭裁判所での検認を経る必要があります
- 内容が不明な場合もある: 本人が内容を伏せているため、発見時点では何が書かれているか不明な場合があります
- 弁護士相談推奨: 発見時は弁護士・司法書士に相談することをおすすめします
自筆証書遺言を見つけた時の対応
自筆証書遺言が見つかった場合、以下の流れで対応します。
ステップ1: 絶対に開封しない
自筆証書遺言を見つけても、その場で開けてはいけません。理由は以下の通りです。
- 開封により検認効力が失われる可能性: 家庭裁判所での検認前に開封すると、遺言書としての法的効力に問題が生じることがあります
- 改ざん疑いを招く: 家庭裁判所は検認の際に、遺言書の真正性(本当に故人が書いたか)を確認します。事前に開封・整理されていると、改ざんを疑われることもあります
- そのままの状態で家庭裁判所へ: 見つけた状態のまま、相続人が家庭裁判所に持参するのが原則です
見つけた直後の保管は、二重の封筒に入れるなど、「発見当時の状態」が保持できるよう心がけましょう。
ステップ2: 見つけたことを相続人全員に報告
自筆証書遺言を見つけたら、すぐに全相続人に知らせます。
- 発見日時、発見場所、物理的な状態を記録
- 全相続人に写真・メールで共有(開封前の状態を撮影)
- 相続放棄の可能性がある場合は、弁護士・司法書士に相談してから対応する
- 遠方の相続人がいる場合は、郵送または電話で詳しく報告
ステップ3: 遺言書の保管方法
検認申立てまでの間、遺言書をどこに保管するか決めます。
- 相続人の1人が責任を持って保管するか
- 弁護士・司法書士に預けるか
- 金融機関の貸金庫に預けるか
いずれの場合も、「誰がどこに保管しているか」を全相続人が把握することが大切です。
ステップ4: 家庭裁判所への検認申立て
見つけた自筆証書遺言を法的に有効にするため、家庭裁判所に「検認申立て」を行います。詳しくは後述の「検認の手続き詳細」をご覧ください。
公正証書遺言の場合の対応
公正証書遺言が見つかった場合、自筆証書遺言とは異なる対応になります。
公証役場での謄本請求
公正証書遺言は公証役場に原本が保管されているため、遺言書のコピー(謄本)を請求します。
手続きの流れ:
- 公証役場に連絡し、故人が遺言を作成しているか確認
- 故人の名前、生年月日、住所を伝える
- 公証役場の指定する書類(死亡診断書、相続人の戸籍謄本など)を持参または郵送
- 謄本(コピー)の交付を受ける
謄本取得に必要な書類:
- 死亡診断書
- 相続人の本人確認書類
- 相続人の戸籍謄本
- 認め印
謄本があれば、相続手続き(銀行での解約、不動産登記など)に進むことができます。
法務局の遺言書保管制度
2020年7月以降、法務局に遺言書を預けられる制度が始まりました。故人がこの制度を利用していた場合の確認方法です。
法務局での検索:
- 法務局に故人の遺言書が預けられているか照会
- 預けられている場合、法務局から「遺言書保管事実証明書」が交付される
- この証明書と遺言書の写しを取得し、相続手続きに利用
メリット:
- 検認が不要
- 遺言書が法務局で厳重に保管されているため、紛失・改ざん対策
- 安全性が高い
詳しくは相続手続きの順番をご覧ください。
秘密証書遺言の場合
秘密証書遺言が見つかった場合の対応です。
秘密証書遺言は、以下のような特徴があります。
- 本人が内容を秘密にしたまま、存在だけを公証人に認証してもらったもの
- 発見時点では内容が不明な場合もある
- 開封前に家庭裁判所の検認を受ける必要がある
秘密証書遺言を開けるには、家庭裁判所の検認を受けることが必須です。自筆証書遺言と同じ検認手続きが必要になります。
秘密証書遺言は実務では極めて稀なケースです。発見した場合は、すぐに弁護士・司法書士に相談し、適切な対応方法を確認することをおすすめします。
検認の手続き詳細
自筆証書遺言と秘密証書遺言を見つけた場合、必ず家庭裁判所での「検認」を受ける必要があります。
検認とは
遺言書が本当に故人が書いたのか、改ざんされていないかを家庭裁判所が確認する手続きです。遺言の内容が法的に妥当かを判断する手続きではありません。
検認申立ての流れ
ステップ1: 家庭裁判所への申立て
- 故人の住所地を管轄する家庭裁判所に、遺言書検認申立書を提出
- 遺言書の原本を添付
- 相続人全員の戸籍謄本、親族関係図も提出
ステップ2: 必要書類の準備
- 遺言書検認申立書(様式あり)
- 遺言書の原本
- 故人の死亡診断書
- 故人の出生から死亡までの戸籍謄本(相続人確定のため)
- 相続人の戸籍謄本
- 故人の住所を証する書類(住民票など)
ステップ3: 家庭裁判所での検認期日
- 申立てから数週間〜数ヶ月後に「検認期日」が指定される
- 申立人(通常は相続人の1人)が裁判所に出頭する
- 遺言書の物理的な状態(筆跡、紙質、印影など)を確認
- 異議がなければ「検認完了」
ステップ4: 検認済証明書の交付
検認が完了すると、裁判所から「遺言書検認済証明書」が交付されます。この証明書があれば、以後の相続手続き(銀行解約、不動産登記)で「検認済みの遺言書」として使用できます。
検認にかかる期間
- 申立てから検認期日まで: 1〜3ヶ月程度(裁判所の混雑具合で変動)
- 検認期日での確認: 通常1回で完了(異議がなければ)
- 検認済証明書の交付: 検認期日から1〜2週間程度
検認にかかる費用
- 収入印紙代: 相続人1人につき800円程度
- 郵送料: 数百円
- 弁護士・司法書士に依頼した場合: 10万円〜30万円程度(依頼先により異なる)
検認後の手続き
検認済みの遺言書があれば、以下の相続手続きに進みます。
- 銀行・証券会社での解約・名義変更
- 不動産の登記変更
- 保険金の請求(受取人指定の確認)
詳しくは相続手続きの順番をご覧ください。
遺言書と相続手続きの関係
遺言書が見つかった場合、相続手続き全体にどのように影響するかを説明します。
遺言書がある場合の相続優先順位
法律上、相続は以下の優先順位で進みます。
- 遺言書がある場合: 遺言書の内容が優先されます。遺言書に「長男に不動産を、次男に預金を相続させる」と書いてあれば、その通りに相続が進みます
- 遺言書がない場合: 法定相続分に従い、相続人全員で遺産分割協議を行います
遺留分との関係
遺言書があっても、相続人には「遺留分」という最低限の相続分が保障されています。
- 遺言書に「全財産を長男に相続させる」と書いてあっても、配偶者や次男には遺留分がある
- 遺留分の割合は民法で定められており、遺言内容に優先する
- 遺留分の侵害を受けた相続人は、「遺留分侵害額請求」という権利を行使できる
遺言に反する分割合意も可能
遺言書があっても、相続人全員が同意すれば、遺言内容と異なる分割をすることができます。
例えば、遺言に「長男に不動産を、次男に現金を」と書いてあっても、「やっぱり次男が不動産を相続する」という話し合いが全員で成立すれば、その方が優先されます。
遺言書がない場合との違い
遺言書が見つかった場合、その内容を基準に相続が進みます。しかし見つからなかった場合は、法定相続分と遺産分割協議が基準になります。
| 項目 | 遺言書がある場合 | 遺言書がない場合 |
|---|---|---|
| 相続の優先基準 | 遺言書の内容 | 法定相続分 |
| 相続人の協議 | 不要(全員同意で変更可) | 必須 |
| 手続き | 検認(自筆証書)または謄本請求(公正証書) | 遺産分割協議書の作成 |
| 期限 | 検認申立ての期限なし | 相続税申告10ヶ月までに決定推奨 |
| 相続人全員の同意 | 遺言変更には必要だが基本は不要 | 遺産分割に必須 |
気をつけたい3つの注意点
1. 自筆証書遺言は開封厳禁、検認が必須
自筆証書遺言を見つけても、決してその場で開けてはいけません。
- 開封前の状態を保つことが、検認手続きの信頼性につながる
- 家庭裁判所は遺言書の真正性を判断するため、「いつ、どこで、誰が発見したか」を記録することが重要
- 検認なしで使用すると、後々その遺言の有効性が争われる可能性がある
相続人全員が「これが本当に故人が書いた遺言だ」と認めていても、法的には検認が必須です。
2. 偽造疑いが生じた場合は弁護士へ
遺言書が本当に故人が書いたのか疑わしい場合、即座に弁護士・司法書士に相談してください。
- 筆跡が不自然に見えるケース
- 内容が故人の意思と矛盾しているケース
- 相続人の1人だけが利益を受ける内容のケース
疑義がある場合、家庭裁判所の検認期日で「異議あり」と主張することができます。その際は弁護士の代理人が必要になることもあります。
3. 相続放棄との関係
遺言書の発見は、相続放棄の判断にも影響します。
- 遺言書が見つかることで、実は多くの負債があることが判明するケースがある
- 遺言書がある場合でも、相続放棄は可能(遺言よりも相続放棄が優先される)
- 原則として相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要がある
遺言書の存在が分かった時点で、その内容(特に負債に関する記述)をよく確認し、相続放棄が必要か判断することが大切です。詳しくは相続放棄と遺品整理をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 自筆証書遺言を家で見つけました。今すぐ開けてもいいですか? A. いいえ。開封せず、そのまま相続人全員に知らせ、家庭裁判所での検認申立てに備えてください。開封前の状態が、検認手続きの信頼性に影響します。発見当時の状態を写真に撮り、記録に残しておくことをおすすめします。
Q. 公正証書遺言が見つかった場合、検認が必要ですか? A. いいえ。公正証書遺言は検認不要です。公証役場で謄本(コピー)を請求すれば、その謄本を相続手続きの書類として使用できます。法務局に預けられている場合も、法務局から「遺言書保管事実証明書」が交付され、そのまま相続に進められます。
Q. 遺言書が見つかっても相続放棄できますか? A. はい。遺言書の有無にかかわらず、相続放棄はできます。遺言書の内容に負債が記載されていたり、不動産にローンが残っていたりする場合、相続放棄を選択することができます。原則として相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述してください。詳しくは弁護士・司法書士に相談してください。
Q. 遺言書の検認申立てにはどのくらい時間がかかりますか? A. 申立てから検認完了までは1〜4ヶ月程度です。家庭裁判所の混雑状況や相続人数により異なります。検認期日は原則1回で済みますが、異議が出た場合は複数回になることもあります。期限に余裕を持って申立てることをおすすめします。
Q. 誰が検認申立てをするのですか? A. 原則として、相続人の誰でも申し立てることができます。通常は検認申立書を作成し、相続人の1人が家庭裁判所に提出します。手続きが複雑な場合や相続人の意見が一致しない場合は、弁護士・司法書士に依頼することをおすすめします。
参照元・データについて
- 本記事は遺言書の発見時対応と検認手続きに関する一般的な法制度の説明であり、法律相談・個別の助言ではありません。実際の判断は必ず弁護士・司法書士にご相談ください。
- 検認手続きは民法1004条以下、遺言書の要件は民法968条(自筆証書遺言)、969条(公正証書遺言)、970条(秘密証書遺言)に基づきます。
- 相続放棄の期限(3ヶ月)は民法915条に基づきます。
- 法務局の遺言書保管制度は令和2年7月から開始された制度です。
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