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相続土地国庫帰属制度と遺品整理の順序【2026年最新】|手続き・費用・却下要件
この記事の内容(全10項目)
この記事の結論(30秒でわかる)
- 相続土地国庫帰属制度は2023年4月開始の仕組みで、相続した土地を国に引き渡せる制度です。2026年7月末時点で累計5,863件の申請、2,762件が承認されています
- 建物があると申請できないため、遺品整理→解体→申請の順序が原則。遺品や家財が残っている状態では「地上の工作物」として不承認になるおそれがあります
- 費用は審査手数料14,000円+負担金20万円〜(宅地の場合、一部市街地では面積に応じて増額)。承認後に負担金を納付して所有権が国に移ります
- 申請から承認まで標準処理期間は8ヶ月、実務では半年〜1年。相続登記(2024年4月義務化)を済ませてから申請する必要があります
関連記事: 空き家の固定資産税6倍の仕組み、管理不全空家に認定されない対策、空き家の遺品整理費用、実家じまい・空き家対策、相続手続きの順番。
相続土地国庫帰属制度の概要
制度の目的と背景
相続した土地のうち、利用予定がなく売却も難しい土地を国に引き渡せる仕組みとして2023年4月27日に施行されました。
- 相続した土地の管理負担や固定資産税の重さが社会問題化
- 所有者不明土地の発生予防
- 土地を手放したい相続人の選択肢を広げる狙い
申請できる人
申請できるのは、相続または相続人への遺贈で土地を取得した人です。
- 売買で自分が取得した土地は対象外
- 相続後に相続人同士で遺産分割協議により取得した土地は対象
- 共有土地は共有者全員での共同申請が必要
制度の運用状況
- 2026年7月31日時点の累計申請件数: 5,863件
- 2026年5月末時点の承認件数: 2,762件
- 標準処理期間: 8ヶ月(法務局により差あり、実務では半年〜1年程度)
遺品整理と解体が先に必要な理由
建物があると申請できない
制度の対象は「土地」のみです。建物が残っている状態では申請できません。
- 実家を残したまま国に引き渡すことは不可
- 建物を解体して更地にしてから申請する必要あり
- 解体費用は所有者負担(木造戸建てで100〜200万円が目安)
地上の工作物・家財も不承認要因
更地にする前に、地上にある工作物・樹木・家財もすべて撤去する必要があります。
- 残置物・家財が残っている土地は不承認となる類型
- 遺品が建物内に残ったまま解体すると、解体費が増える
- 解体業者と遺品整理業者を分けて依頼するか、両方対応できる業者を選ぶ
推奨される順序
- 相続登記: 2024年4月義務化(相続開始を知った日から3年以内、2024年4月以前の相続分は2027年3月31日まで)
- 遺品整理: 建物内の家財撤去
- 解体: 建物の撤去
- 外構・庭木の撤去: 工作物・樹木の除去
- 法務局への事前相談: 制度対象となるか確認
- 申請: 審査手数料14,000円を納付
- 審査: 標準8ヶ月
- 承認後の負担金納付: 通知から30日以内
- 所有権移転: 国庫帰属
空き家の遺品整理費用は空き家の遺品整理費用、相続登記の進め方は相続手続きの順番で解説しています。
却下・不承認となる要件
却下される土地(申請できない)
以下に該当する土地は申請自体ができず、却下されます。
- 建物がある土地
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 他人の利用が予定されている土地
- 土壌汚染がある土地
- 境界が明らかでない、または所有権で争いがある土地
不承認となる土地(審査で落ちる)
申請はできても、審査で以下に該当すると判明すると不承認となります。
- 一定の勾配・高さの崖がある土地
- 土地の管理・処分を阻害する工作物・車両・樹木等が地上にある土地
- 地下に有体物(コンクリート片等)が残っている土地
- 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
- その他、通常の管理・処分に過分の費用または労力を要する土地
事前相談の活用
却下・不承認を避けるため、申請前に法務局(本局)で事前相談を受けることが推奨されています。
- 相談は予約制
- 土地の所在地を管轄する法務局で受付
- 書類作成は弁護士・司法書士・行政書士が代行可能
- 申請自体は原則本人(または法定代理人)
費用の目安
審査手数料
申請時に土地1筆当たり14,000円を納付します。
- 却下・不承認の場合も返還されない
- 共有土地は共有者全員で負担(持分に応じて)
負担金
承認後、10年分の土地管理費相当額を負担金として納付します。
| 土地の区分 | 負担金の目安 |
|---|---|
| 宅地(原則) | 20万円 |
| 宅地(一部市街地) | 面積に応じて算定 |
| 田・畑(原則) | 20万円 |
| 田・畑(市街地・農用地区域等) | 面積に応じて算定 |
| 森林 | 面積に応じて算定 |
| その他(雑種地・原野等) | 20万円 |
一部市街地の宅地の試算例として、100㎡で約55万円、1,000㎡で約110万円という参考値が示されています。
納付期限
承認通知を受けてから30日以内に負担金を納付する必要があります。期限を過ぎると承認が失効するため、資金準備を事前に進めてください。
費用総額の試算
標準的なケースの試算です。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 遺品整理(空き家3LDK相当) | 17〜50万円 |
| 建物解体(木造戸建) | 100〜200万円 |
| 外構撤去・樹木伐採 | 10〜50万円 |
| 審査手数料 | 1.4万円 |
| 負担金(宅地原則) | 20万円 |
| 合計目安 | 148〜321万円 |
費用が大きいため、売却可能性を先に検討するのが現実的です。詳細は空き家3000万円特別控除、空き家対策と実家じまいもご覧ください。
申請の流れ
1. 相続登記の確認
申請前に、相続による所有権移転登記が完了している必要があります。
- 相続登記は2024年4月から義務化
- 相続開始を知った日から3年以内が期限
- 2024年4月以前の相続分は2027年3月31日まで
2. 法務局への事前相談(予約制)
土地の所在地を管轄する法務局(本局)で事前相談を受けます。
- 土地の謄本、公図、測量図、現地写真などを持参
- 制度対象となるか、不承認要件に該当しないかを確認
3. 書類準備
申請に必要な書類は以下です。
- 承認申請書
- 土地の位置・範囲を明らかにする図面
- 土地の形状を明らかにする写真
- 添付書類(登記事項証明書、固定資産税評価証明書、相続関係を示す戸籍謄本等)
- 審査手数料の納付
4. 申請
- 本人による申請が原則(法定代理人を除く代理人による申請は不可)
- 書類作成は弁護士・司法書士・行政書士が代行可能
- 審査期間は標準8ヶ月(法務局により差あり)
5. 審査
書面審査と実地調査が行われます。
- 書面審査: 書類の内容確認
- 実地調査: 現地で境界・工作物・樹木・崖等を確認
6. 承認・不承認の通知
承認の場合は負担金の通知が届きます。
7. 負担金の納付
通知を受けてから30日以内に負担金を納付します。
8. 国庫帰属
負担金納付をもって所有権が国に移転します。以降の固定資産税は国が負担。
他の選択肢との比較
売却
- 買い手が見つかれば現金化可能
- 空き家3000万円特別控除(2027年末まで)の活用で税負担を軽減
- 買い手がつかない立地では売却が難しい
賃貸
- 住宅用地特例を維持できる
- 継続的な家賃収入
- 管理・修繕の負担
相続土地国庫帰属
- 買い手がつかない土地でも手放せる
- 解体費・負担金の負担
- 却下・不承認のリスク
放置
- 固定資産税の継続負担
- 管理不全空家・特定空家の認定リスク(詳細は管理不全空家に認定されない対策)
- 近隣トラブルのリスク
香川県での窓口
香川県17市町(高松・丸亀・坂出・善通寺・観音寺・さぬき・東かがわ・三豊・土庄・小豆島・三木・直島・宇多津・綾川・琴平・多度津・まんのう)の土地の相続土地国庫帰属に関する相談・申請窓口は、高松法務局本局です。
- 事前相談は予約制
- 書類作成は司法書士・行政書士に依頼可能
- 高松法務局の管轄区域は香川県全域
関連する補助制度や空き家対策の窓口は香川県の遺品整理行政窓口総まとめ、香川県の補助金・支援制度もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 建物を残したまま国に引き渡せますか? A. できません。建物がある土地は申請自体が却下されます。建物の解体と地上の工作物の撤去が必要です。
Q. 家財が残っている状態で解体してもよいですか? A. 家財が残っていると解体費が増え、解体中の廃棄物混入で費用がさらに上がります。遺品整理→解体の順序が標準です。詳細は空き家の遺品整理費用をご覧ください。
Q. 負担金はどのくらいかかりますか? A. 宅地の原則は20万円です。一部市街地では面積に応じて算定され、100㎡で約55万円、1,000㎡で約110万円の参考試算があります。土地の種類と立地で変わるため、法務局の事前相談で確認してください。
Q. 共有名義の土地でも申請できますか? A. できますが、共有者全員での共同申請が必要です。共有者のうち1人でも反対すると申請できません。
Q. 却下・不承認になるとどうなりますか? A. 審査手数料は返還されません。却下・不承認の原因を解消できれば再申請は可能ですが、要件を満たせない土地は売却や解体後の売却など他の選択肢を検討することになります。
参照元・データについて
- 本記事は相続土地国庫帰属制度(2023年4月27日施行)に基づく一般的な説明です。制度の運用、却下・不承認要件、負担金の算定方法は法務省と各法務局の運用により変動する可能性があります。
- 申請件数・承認件数は法務省公表資料に基づきます(2026年7月末時点の累計申請5,863件、2026年5月末時点の承認2,762件)。
- 審査手数料14,000円、負担金20万円等の金額は制度施行時点の規定です。改定の可能性があるため、申請前に法務省の最新情報をご確認ください。
- 本記事は税務・法律の個別相談ではありません。具体的な手続きは法務局への事前相談、または司法書士・行政書士・弁護士にご相談ください。
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